永劫の罪人 光の咎人

 手を振っていた長髪の教皇の動きが止まり、素早い動きでこちらを振り向く。

 マテリアと目が合う。
 彼の澄んだ蒼の瞳が丸くなっていた。

 絵空事のように美しい教皇。そんな彼の姿を見ても、感嘆のため息は出てこない。
 馴染みがありすぎて、その姿を見るのが当然だったから。

(どうして忘れていたんだ?)

 マテリアの手が震える。

 ふざけて遊ぶ自分を、いつも彼はにこやかに微笑んで見守っていた。
 アスタロと、彼と、自分と。いつも三人で遊んでいた。

 大好きで、大切な人。
 左の獣傷がうずき、マテリアは手を添える。

(この傷だって、アイツをかばって作った傷なのに!)

 今まであった胸の空白が、嘘のように満たされていく。

 ずっと足らなかったのは、彼の記憶。

「ハミル!」

 マテリアは窓枠から降り、踵を返す。

「どこに行くんだ、マテリア!」

 驚いたビクターの声を聞きながら、マテリアは立ち止まらずに部屋から出ていった。