マテリアが体を強張らせていると、ビクターがさらに抱き寄せて、忍び笑う。
「襲う気はないから安心しろ。こうやってオレの顔を見ないほうが、言いやすいだろ?」
「言いやすいって、何を?」
「弱音とか不安とか、いろいろだ。言ってみろよ。オレはできた人間じゃないが、それぐらいは受け止めてやるから」
そんなこと、しなくてもいい――そう言おうとして、マテリアは言葉に詰まる。
今まで胸にためこんでいたものがあふれていく。
やっと言いたかった言葉が、マテリアの口から出た。
「記憶を思い出せば、昔の自分に戻れると思ってたのに……昔の私は今の私と食い違ってばかりだ。この記憶が私のものなのか、わからなくなってくる。どっちが本当の私なんだ?」
震える声に嗚咽が混じりそうになる。
マテリアはビクターの胸元にしがみつき、言葉を続けた。
「百年経ったダットの街は、見覚えのないものばかりだった。知っている人もいない。そのうえ、自分のことさえわからないなんて……」
優しくビクターがマテリアの背をなで、耳元でつぶやいた。
「ひょっとしておびえているのか? 昔と違う自分自身に」
「……そうかもしれない。ビクター、どうすればいい? どうすれば昔の私に戻れるんだ? こんな私なんて……」
「襲う気はないから安心しろ。こうやってオレの顔を見ないほうが、言いやすいだろ?」
「言いやすいって、何を?」
「弱音とか不安とか、いろいろだ。言ってみろよ。オレはできた人間じゃないが、それぐらいは受け止めてやるから」
そんなこと、しなくてもいい――そう言おうとして、マテリアは言葉に詰まる。
今まで胸にためこんでいたものがあふれていく。
やっと言いたかった言葉が、マテリアの口から出た。
「記憶を思い出せば、昔の自分に戻れると思ってたのに……昔の私は今の私と食い違ってばかりだ。この記憶が私のものなのか、わからなくなってくる。どっちが本当の私なんだ?」
震える声に嗚咽が混じりそうになる。
マテリアはビクターの胸元にしがみつき、言葉を続けた。
「百年経ったダットの街は、見覚えのないものばかりだった。知っている人もいない。そのうえ、自分のことさえわからないなんて……」
優しくビクターがマテリアの背をなで、耳元でつぶやいた。
「ひょっとしておびえているのか? 昔と違う自分自身に」
「……そうかもしれない。ビクター、どうすればいい? どうすれば昔の私に戻れるんだ? こんな私なんて……」


