永劫の罪人 光の咎人

「……お前は、オレを責めないんだな」

「え? 何でビクターを責めなきゃいけないんだ?」

「マテリアが今こうして苦しんでいるのは、オレが秘薬をまいて、お前を生き返らせたからだろ? オレがお前を苦しめる元凶を作った。違うか?」

 普段から飄々として、おどけた言動ばかりの男が、まさかそんなことを考えていたなんて。
 人は見かけによらないな、とマテリアはビクターの見る目を変える。

「ひょっとして、今の今までそれを気にして……」

「当たり前だろ。そうでなかったら、自腹切って宿代やら、食事代やら払わないって」

 確かにロンドと違って、他人に尽くすという男ではない。
 不覚にもマテリアは吹き出して咳きこむ。

 ビクターはがくっ、とうなだれた。

「何でこの場面で笑えるんだぁ? オレはこんなに真剣なのに」

「ゲホッ、ごめん。ビクターらしくないなーと思ったら、つい……気にしなくていいよ。済んだことを責めても意味がないし、責める気もないよ」

 再びビクターは顔を上げ、わずかに苦笑する。

「不器用なヤツだな。オレを責めれば、もっと楽になれるだろうに。だから自分の中にいろいろためこんで辛くなるんだ」

 はっきり「違う」とマテリアが言おうとした瞬間。
 肩をつかんでいたビクターの手が、マテリアの背へ回される。

 昼間より柔らかな抱擁。
 慣れない扱いが、妙にくすぐったい。

 でも、こんな抱擁を知っている。
 一体どこで、誰が?