永劫の罪人 光の咎人

 目の前で繰り広げられる様は、殺伐とした乱闘ではなく、流麗な剣舞のように見える。
 しっかり目に焼きつけようと、ロンドがマテリアの動きを追っていると――。

 ――マテリアの顔が蒼白になっていた。

 次第に彼女の動きは鈍くなっていたが、それでも山賊に押し負けてはいない。

(そういえば、マテリア様は頭痛が治まったばかりだった。大変だ!)

 何か自分にできることは……心ばかり焦るロンドの前で、マテリアが完全に動きを止める。

 そして剣と膝を地に落とし、マテリアは己の胸元をつかむ。

「マテリア様!」

 自分ができることは法術だけ。
 光の守りを出そうと、ロンドは口早に言霊を発そうとした。

 刹那、マテリアがうなだれる。
 隙ありと、無慈悲に山賊のナタが向けられた。


 が、マテリアはナタを片手でつかむ。

 それから木の枝を折るよりも簡単に、ナタを折り曲げた。


 全員が動きを止め、マテリアに注目する。

「ば、化け物だ……」

 山賊の一人が震えた声でつぶやき、一歩後ずさる。

 周りで見ていた僧侶や護衛の者たちもたじろぐ。

「うわああぁぁぁっ!」

 マテリアは叫びながら立ち上がり、山賊を押しのける。
 大きな身なりの男だが、押された山賊の足は地を離れ、弧を描いて飛ばされた。

「に、逃げるぞ!」

「ああ。割に合わねぇ」

 マテリアの異常な力に戦意を奪われ、山賊たちは見苦しくあわてふためき、山道の脇へと消えていった。

 未だ山賊を払おうと腕をふり回すマテリアへビクターが駆け寄り、彼女の両肩をつかむ。

「マテリア、落ちつけ! どこか斬られたのか?」

「違う……違う、違う! こんな自分知らない、こんな――」

「マテリア!」

 動揺の収まらないマテリアを、ビクターが動きを押さえつけるように抱きしめる。