「よくもやりやがったな!」
近くにいたほかの山賊が、次々とマテリアへ得物を振り下ろす。
だが、その先に彼女の姿はない。
いつの間にかマテリアは別の山賊の懐に入り、深々と腹に肘を食いこませていた。
一人を倒して、マテリアが山賊たちの背後へ躍り出る。
「ビクター、挟みうちだ!」
「わかってる。任せとけって」
不敵にビクターは笑い、マテリアと息を合わせて山賊へ斬りかかる。
彼も戦い慣れしているのか、悠々と襲いくる武器を剣でいなし、ひと振りで相手を吹き飛ばす。
(すごい……ビクター様も強いんだ)
マテリアとは違って、ビクターの動きは目で追えるが、一撃は力強い。山賊二人と同時に剣を交えても押し勝っている。
彼らの動きにロンドだけでなく、応戦している護衛の人間も、ぎょっとしながら横目で見ていた。
「何なんだ、アイツらの強さは」
ガストは大きく喉を鳴らしながら、向かってくる山賊を剣でなぎ払う。
「ガスト様も十分強いですよ」
「いいえ。あそこまで剣を自由に振るえません」
心なしか悔しそうにガストはつぶやいた。
確かに二人が自由に剣を振るう姿は、聖職者の自分でさえ魅せられる。
ロンドの胸が高鳴るのは、不安と恐ろしさだけではなかった。


