永劫の罪人 光の咎人

(よ、よし。やるぞ)

 決意を固めて、ロンドは一歩棺に近づき、ガラスの小瓶を高々と上げ――。

(人の命を勝手にあやつるくらいなら)

 ――勢いよく腕を振り下ろした。

(僕が非難されたほうがマシだ!)

 小瓶が汗ですべり、ロンドの手から離れる。
 人々の息が引いていくのが聞こえた。

(これでいいんだ。これで……)

 小瓶は体をひねらせながら、床で弾ける。

 ガラスが割れる音はなかった。
 音の代わりに光が爆ぜた。

 光は棺の下に広がる太陽の文様の隅にこぼれ、白光の柱が立つ。
 光は次第に強くなり、閃光となる。

 その場にいた者すべてが、あまりのまぶしさに驚き、大礼拝堂が騒がしくなった。

 光から目をかばいながら、ロンドは棺の中のミイラを見つめる。
 一番まばゆい光は、ミイラに宿っていた。

(……え?)

 ロンドは我が目を疑う。秘薬がミイラにかからないよう、床へ叩き落したはずなのに……ミイラは光に包まれ、朽ちた肉体を隠していく。

(そんな! 近くに亡骸があるだけで、効果があるなんて)

 動揺するロンドに構わず、光は弱まっていく。

 ぼんやりと棺の中が見えてくる。
 すでに乾いたミイラの姿はなく、瑞々しい肌が現れていた。

 辺りは淡い光で満たされ、清々しい空気が流れると――棺から一人の青年が体を起こした。