永劫の罪人 光の咎人

「見てみろよマテリア。教会から護衛の依頼が入ってるぜ。三日後に次期教皇……ロンドがどっかの村に行くから、臨時の護衛を募集してるんだと」

「ロンドの護衛なら私も賛成だな。これも何かの縁だし」

 マテリアがつぶやくと、ビクターはニッと歯を見せて笑った。

「じゃあ決まりだな。マダム、この依頼引き受けるぞ」 

 子供じみた表情を見せたと思ったら、ビクターはすぐに表情を引き締め、ほかの依頼書を女主人へ返す。

(こんなに表情をころころ変える知り合い、周りにいなかったな。面白いヤツ)

 ちょっとだけ興味が出て、マテリアはビクターをぼうっと見上げる。

「それは今日届いたばかりの依頼よ。教会に騒ぎがあったみたいね。警護隊の人が何名かケガをして、人手が足りなくなっているらしいわ。少なくとも確かな仕事だから安心して。その紹介状を持って警護隊のところに行けば、話だけでも取り次いでくれるから」

 女主人の言葉に、ビクターは忌々しげに頭をかいた。

「わかった、そうさせてもらう。マテリア、ちょっと依頼書を持っていてくれ」

 ビクターはマテリアに紙を渡すと、懐から銀貨を一枚取り出し、「これ紹介料な」と女主人に差し出した。

 受け取った依頼書は、マテリアが想像していた物よりもなめらかな感触だった。
 紙の端っこを親指と人さし指の間に置き、何度もこすって触り心地を楽しむ。

「ありがとな、マダム。さっそく明日にでも行ってみる。さ、行くぞ」

 ビクターにうながされ、マテリアは紙をいじりながら酒場を後にする。