ひと通り街を巡り、ロンドやガストと別れた後。
マテリアはビクターに連れられて、一軒の古びた酒場らしき店の前に来る。
よく見ると木造の店の隅は、雨水が染みこんで腐りかけていた。そのせいで一帯に澱んだ空気が漂っている。
「マテリア。ひとつ聞くが、お前剣を使えるみたいだが、昔は何をしていたんだ?」
突然ビクターに質問され、マテリアはうなって思い出してから答えた。
「ダットの街からひと山越えたところにある村の農民だったよ。それは覚えてる……って、ビクター。何だその変な顔?」
ふとビクターを見やると、彼は口の端を引きつらせ、目を生温かくして笑っていた。
瞳からは「嘘だろ?」という嘲笑が、ヒシヒシと伝わってくる。
「そんな腕っ節の強い農民なんて、オレは見たことないな。女だけど、戦士や騎士の後継ぎとか言われたほうが信じられるって」
「百年前のあの頃は、農民は兵士と兼ねていたんだ。私よりも強い農民なんてゴロゴロいたさ。それに、アスタロと剣を交えて遊ぶのが楽しくて、結構練習してたんだ」
ビクターの視線を無視して、マテリアは子供の頃をなつかしむ。
「それに、私は親の畑を手伝ってたけれど、むしろ山で剣の素振りをしたり、夕飯に食べる獣を狩ったりするほうが多かったな」
マテリアはビクターに連れられて、一軒の古びた酒場らしき店の前に来る。
よく見ると木造の店の隅は、雨水が染みこんで腐りかけていた。そのせいで一帯に澱んだ空気が漂っている。
「マテリア。ひとつ聞くが、お前剣を使えるみたいだが、昔は何をしていたんだ?」
突然ビクターに質問され、マテリアはうなって思い出してから答えた。
「ダットの街からひと山越えたところにある村の農民だったよ。それは覚えてる……って、ビクター。何だその変な顔?」
ふとビクターを見やると、彼は口の端を引きつらせ、目を生温かくして笑っていた。
瞳からは「嘘だろ?」という嘲笑が、ヒシヒシと伝わってくる。
「そんな腕っ節の強い農民なんて、オレは見たことないな。女だけど、戦士や騎士の後継ぎとか言われたほうが信じられるって」
「百年前のあの頃は、農民は兵士と兼ねていたんだ。私よりも強い農民なんてゴロゴロいたさ。それに、アスタロと剣を交えて遊ぶのが楽しくて、結構練習してたんだ」
ビクターの視線を無視して、マテリアは子供の頃をなつかしむ。
「それに、私は親の畑を手伝ってたけれど、むしろ山で剣の素振りをしたり、夕飯に食べる獣を狩ったりするほうが多かったな」


