永劫の罪人 光の咎人

「おおっ!? こんな小僧が次期教皇? 街に来たばかりで有力者と知り合えるなんて、もしかしてオレ、運がいい?」

 ビクターはおどけた声を出して、一人にやつく。
 軽口を叩くビクターに、ガストが隣でにらみつける。

「もしロンド様の名を軽々しく出して利用するなら、お前を斬る」

「捕まえる、じゃなくて斬るか。はいはい、肝に銘じておくよっと。失礼をお許しください、ロンド様」

 うやうやしく頭を下げようとしたビクターへ、ロンドは何度も首を横にふった。

「かしこまらないでください、ビクター様。僕なんてまだ未熟者の身、敬われるような人間ではありません。今まで通りでお願いします」

「そうか? じゃあ遠慮しねぇぞ。堅苦しいのは苦手だからな」

 ロンドとビクターのやり取りに、マテリアは笑い声を上げる。

「はは、じゃあ私も今まで通りにするよ。それにしても、ずいぶんと若い次期教皇だな……ん?」

 マテリアの脳裏に、何かが引っかかった。

(あれ? 私の親しかった人に、教皇だった人がいた?)

 記憶の糸をたぐり寄せてみる。しかし、ハッキリとした記憶はついてこない。

「マテリア様、よろしければ今から街を案内しましょうか? 百年も時が経って、景色も大きく変わっていると思いますから」

 思考にふけり始めたマテリアを、ロンドの声が現実に引き戻す。
 せっかくの申し出を断るのはもったいないと、マテリアは大きくうなずく。

「頼むよロンド。いろいろ教えてもらえると助かるよ」

「はい。では行きましょう。ガスト様もビクター様もおつき合いください」

 心なしか嬉しそうに声を弾ませ、ロンドは部屋の扉を開ける。
 ずっと落ち着いた振る舞いだっただけに、年頃の少年らしい輝いた表情が、マテリアには微笑ましく見えた。