永劫の罪人 光の咎人


 ガストが腕を組み、目を細めてマテリアを見つめる。
 明るいところで彼を見ると、アスタロにはなかった眼尻の皺がある。

(私の知っているアスタロは、一歳年上で青臭さのあるヤツだ。ガストのほうが渋い)

 そう思い、マテリアがガストを見ていると、彼は訝しそうに眉をひそめた。

「どういうことだ? 昨日は俺を勘違いして、知り合いの名前を言っていただろ?」

「かろうじて覚えてる程度なんだ。友だちだったのは覚えている……うっすら昔のことで思い出せるところはあるけど、私が本当に死んだのか、何をしていたのか、さっぱり思い出せないし」

 ガストが「厄介だな」とつぶやき、落胆のため息を吐き出す。
 反対にロンドは努めて優しく微笑んでくれた。

「あの、僕が文献や伝承を調べてみます。百年も経っているので、なぜ貴女が『永劫の罪人』と呼ばれているのか詳しく伝わっていませんので、少し時間はかかると思いますが」

「本当? ありがとう。私も何とか自分で思い出してみるよ」

 ロンドと話をしている最中、ガストがビクターに近づき、小声で話しかける姿がマテリアの横目に入った。少し気になって聞き耳を立てる。

「ひと晩ご苦労だったな」

 口をニッとさせ、ビクターも小声で答えた。

「だってマテリアを見張っていれば、賊と一緒にいたことを不問にしてくれるんだろ? 『永劫の罪人』を甦らせたからって理由で、お尋ね者にはなりたくないし……まあ、マテリアに興味があったから、ちょうどよかったけどな」

 顎に手を当てながら、ガストはうなる。

「……俺としては、俺に似ているアスタロという奴を調べてみたい。もしかすると、俺の血縁にいるかもしれない」

 それはマテリアも気になっていた。
 顔だけじゃない、彼の声や体格もアスタロと瓜二つ。調べてくれるのはありがたかった。

 にんまりとビクターの顔がゆるみ、肘でガストの脇をつつく。

「何だ、アンタも興味あるんじゃないか。堅物かと思っていたが、案外そうでもないんだな。見直したぜ、おっさん」

 ビクターに図星を指されてか、ガストは閉口する。
 感情が地味に顔へ出てくるところもアスタロに似てるな、とマテリアは内心嬉しく思う。