永劫の罪人 光の咎人

「マテリア様……」

「教皇は何かと大変だから、またロンドの様子を見に来るからな。絶対に!」

 そう言い切ったマテリアの声に、ビクターがうなずいた。

「せっかくの縁だ、これでお別れっていうのもさみしいよな。ロンド、いつでも連絡取れるように、オレのとっておきを教えてやるよ。お前さんの法力なら、使えそうだからな」

 軽く片目をつむると、ビクターは朗々とした声で言霊をとなえた。

『光司る者、我が声に応えよ。我が胸裏(きょうり)の深淵に住まう貴き想い人へ、我が現(うつつ)の声を届けたまえ』

 ビクターが言い終わると同時に、赤々とした火を丸めたような光球が二つ現れた。
 ひとつはロンドの耳元に、もうひとつはビクターの目前に浮かんでいる。

 見たことのない色だ。
 不思議そうにロンドが赤い光球を見つめていると、そこから「あー聞こえるか?」とビクターの声が聞こえてきた。

「オレたちのことを考えながら、その法術を使えば、どんなに離れていても連絡が取れるぞ」

 自分の知っている法術は、ダットの街の隅から隅までの連絡で限界だ。こんな術もあるなんて。

 驚くと同時に、また彼らとつながり合えることに、ロンドの胸が高鳴った。

「ありがとうございます! よろしければ、旅のご様子を教えて下さいね」

 思わずロンドが笑顔をこぼすと、マテリアの顔もほころんだ。

「もちろん。たくさん面白いものを見つけて、こっちからも連絡するよ」

 マテリアがハミルとビクターに目配せすると、彼らも微笑んでうなずいた。

「何か困ったことがあれば、いつでも言ってくださいね。元教皇として、ロンドに助言できることもあるでしょう。もっと伝えたいことも、たくさんありますから」

 ハミルの言葉に、ビクターが肩をすくめる。

「そいつは同感だ。珍しく意見が合うな、ハミル」

 片目を閉じるビクターへ、ハミルは「たまたまですよ」と腕を組んでつぶやく。
 その様子を見てマテリアは吹き出してから、名残惜しげにゆっくりとした足取りで、旅立ちの一歩を踏み出した。