これからは気の抜けない日々が続いていく。
 それを知っているからこそ、マテリアたちとすごした時間が愛おしい。

(教皇となる前に、もう一度お会いしたかったな……あんな風に誰かと触れ合える時間なんて、これから持てないだろうから)

 ロンドの胸に寂しさがこみ上げる。

 ハミルが街中にいることが人々に気づかれると騒ぎになる。
 そうなる前にさっさと出立したい、とビクターは言っていた。

 もう一度会いたいが、すでに三人はダットの街から出ているだろう。
 未練は残るが、甘えてばかりはいられない。ロンドは不安を追い出すように息をつく。

(頑張らないと。これが僕の選んだ道だから)

 心は決まっていても、緊張はする。
 おかげで儀式当日の今日も、心が騒いでロンドは寝つけなかった。