ガストの手を触手が叩き、剣を落とす。
光の靄をはねのけ、触手の群れが勢いづく。そのままガストへ迫ってきた。
『天駆ける光の精霊、今ここに、その存在の徴を見せたまえ。我の光を糧に、我が愛しき者たちに、穢れを弾く光の衣を与えたまえ』
ロンドはとっさに言霊を唱える。
次の瞬間、ガストを始めとして、全員の体に微光が灯る。
じゅうぅぅぅ。
ガストの体へ飛びかかってきた触手から、灰色の煙が昇った。
干からびた川魚のような生臭さが周囲に漂う。
「ロンド様……」
「僕は攻撃の法術は使えませんが、人を守る術は使えます。だから……ヴィバレイ様を、早く救ってさしあげてください」
気遣う色を見せたガストと目が合い、ロンドは涙をこらえてうなずいた。
ロンドの前にハミルが立ち、わずかにこちらへ顔を向ける。
「そんなに気負わなくてもいいですよ」
うなずきながら側に寄ってきたマテリアが、ロンドの肩を軽く叩いた。
「ああ。すぐに終わらせるから」
二人は互いに視線を通わせると、マテリアが単身、ヴィバレイへと向かっていった。


