永劫の罪人 光の咎人

「やっと起きたか、この眠り姫は」

 ようやく見せた素顔を隠し、ビクターは元の軽そうな男に戻る。

 マテリアはビクターに寄りかかっていた体を起こし、ぽつりとつぶやいた。

「……ハミルを、何とかしないと」

 てっきり寝起きで目が虚ろだと思っていたが、どうやらマテリアの目はすわっているようだ。

 嫌な予感がする。ロンドがマテリアに注意を向けていると――。

「ビクター、剣を借りるぞ」

 起きたばかりとは思えない動きで、マテリアは俊敏に動く。
 鮮やかにビクターが脇に置いていた鞘つきの剣を取り、立ち上がって駆け出していた。

 あっという間にマテリアの姿は見えなくなる。
 初めて会ったときの素早さとは、比べものにならない。彼女の動きは、人の域を超えている。

「もしかして、記憶が戻って我を忘れているのか? マテリアを追うぞ!」

「は、はい!」

 目まぐるしく変わる事態に、ロンドは何とか頭を切り替える。
 そして馬をつないだところまで、足をもたつかせながら走り出した。