永劫の罪人 光の咎人

 一見すると人の姿は見当たらない。
 しかし、木の反対側に回りこむと……地面が崩れて大きな空洞となった木の根元で、二人の人影を見つけた。

 そこには、ぐっすりと眠るマテリアを守るように、ビクターが彼女を抱き包んでいた。
 こちらを見上げるビクターの顔は、不敵に笑いながらも、目には警戒の色があった。

「よう、ロンドにガスト。来てくれて助かったぜ」

 万が一のことを考えてか、ロンドの前にガストが立つ。彼の背中越しに、緊張している気配が伝わってくる。

 二人の様子に怖じ気づきながら、ロンドは言葉を返した。

「お話は精霊から聞きました。本当にビクター様は、ヴィバレイ様を襲ってはいないのですね?」

「ああ。教皇が死んだっていうのは、ロンドから初めて聞いたぞ。オレが教皇を殺したって、なんの得にもならねぇのに」

 それはロンドも感じていたことだ。
 わざわざ教皇殺しの大罪を犯しても、得るものはなにもない。

 唾を飲みこんでから、ロンドは尋ねた。

「教えてください。教会でなにがあったんですか?」

 虚空を見つめて少しうなってから、ビクターは話し始めた。

「ハミルの奴が、オレに罠をしかけたんだ」

「えっ、ハミル様が!?」

 驚きで、思わずロンドの声が大きくなる。
 ゆっくりうなずき、ビクターは話を続ける。

「マテリアからオレを引き離そうとしたんだよ。マテリアを眠らせて、心配したオレが教会へ駆けつけるように仕向けて……最初はオレに賊の濡れ衣を着せるつもりだったようだが、まさかマテリアと同じ『永劫の罪人』にされるとは思いもしなかったぜ」

 あのハミルがそんなことをするなんて、信じられない。
 にわかに受け入れられず、ロンドは放心の息を吐き出す。

「どうしてハミル様が、そんなことを……」

「今も昔も教会に縛られて、好きなヤツと一緒にいられないのに、どこの馬の骨ともわからない男が隣にいるなんて……嫉妬するに決まってるだろ。自分を殺した相手だと覚えているくせに、一緒にいたいと思っているような奴だ。異常なまでの執着だぞ」