永劫の罪人 光の咎人

 さっきまで抱き上げていたマテリアを肩に担ぎ、ビクターは怒りとも焦りとも取れない、必死な顔になっていた。

 ビクターが頬を打った手で、ハミルの肩をつかむ。

「オレを殺そうとするのは勝手だが、我を忘れるな!」

 急な言葉にハミルの目が点になる。

「なっ……どういうことですか!?」

「いいか、一度しか言わないからな。死人還りの秘薬にはな、本当に副作用があるんだ……悪人になるとか、そんな生やさしいものじゃない。我を忘れれば、身も心も化け物になってしまうんだ」

 一体何の冗談だと言いたかったが、ビクターの真剣な眼差しに遮られる。
 ハミルは息を呑んでから、口を走らせる。

「どうして貴方がそんなことを、知っているんですか」

「知ってるもなにも、元はオレの教会で作られた外法だからな」

 忌々しげに言い捨てた後、ビクターはわずかに顔をゆるめた。

「本当はお前なんかどうでもいいが、お前が化け物になったらマテリアが悲しむ。せいぜい気をつけろよ」

 ハミルの肩から手を離すと、ビクターはマテリアを再び両手で抱き上げ、部屋から出ていった。

 足元を光で押さえられ、ハミル一人だけが部屋に立ちつくす。

(……あんな男に助けられるなんて)

 悔しさで頭が熱くなる。
 それでも己を見失うわけにはいかないと、ハミルは息を深く吸いこんで、たかぶる胸の内を落ち着かせていった。