永劫の罪人 光の咎人

 再び道化に戻ってビクターは肩をすくめると、マテリアのところへ向かう。

 気に入らない。
 あんな奴が自分よりも強い法力を持ち、我がもの顔でマテリアに触ろうとしていることが。

 ハミルの胸奥で、漆黒よりも深い闇と、焼けつきそうな感情が混じり合い、大きくうねる。

 両腕にマテリアを乗せて、ビクターはゆっくり抱き上げる。
 彼女の顔をのぞきこんだ瞬間、彼は目を細め、安心したような息をついた。

 踵を返し、ビクターは「じゃあな」と、その場を立ち去ろうとした。

「勝手な真似はさせません」

 光に捕らわれて鉛と化した足で、ハミルは一歩、一歩とビクターを追う。

「驚いた。見た目はか弱そうなのに、力はあるんだな」

「マテリアだけは譲れませんから。彼女が誰かに取られることも、誰かが隣に並ぶことも、心を通わすことも……許せない」

 じわじわと顔の頬がつり上がり、己の顔が歪んでいくのがわかる。

 おそらく醜悪な形相になっているのだろう。
 しかし、ハミルに取りつくろう気はなかった。

 もうマテリアと離れたくない。

 そのためにこの手を汚しても。

 彼女に憎まれても。

(奪われるくらいなら、今すぐ彼を殺そう)

 怒りに任せ、ハミルが己を手放そうとしたとき。


 ――パンッ。頬に痛みが走り、ハミルは我に返った。