永劫の罪人 光の咎人

「つまりオレが邪魔だから、どうにかしたいってコトか?」

 突然の声にハミルは驚かない。背を向けたまま声を返す。

「貴方が来るには、二刻以上も早くありませんか、ビクター」

「ちょっと虫の知らせがあったから、マテリアを迎えに行く時間を早めただけだ。大方オレをおびき寄せるためにマテリアを足止めして、心配したオレが来るのを待つつもりだったんだろ?」

 口調は軽いままだが、振り向かなくとも、背中越しにビクターの気迫が伝わる。
 成り行きで甦らせ、仕方なくマテリアの面倒を見ているような空気ではない。

 自分たちが甦ってから、数日しか経っていないのに悪い虫がついた。
 ハミルは瞳を流し、わずかに背後のビクターを見やった。

「ようやく会えたマテリアを、得体の知れない流浪の旅人に渡せませんからね」

「得体が知れないのは、お前もだろうが」

 顔の横にあった剣が、ハミルの頬に刃を向ける。

「マテリアを連れて行かせてもらうぜ。オレはこいつを幸せにしてやりたいんでね……少なくとも、今のお前には渡さねぇ」

 予想外の静かな声に、ハミルは思わず立ち上がってビクターへ体を向ける。

 そこには昼間の道化を消した、真顔のビクターがにらんでいた。

 何も聞かずとも、顔を見ればわかる。
 この男も彼女を求めている。

 思った通りに厄介な男だ。ハミルはビクターをにらみ返す。