永劫の罪人 光の咎人

 ハミルが話し終え、部屋は静まりかえる。

 言葉が紡がれるのに合わせ、記憶は鮮やかに戻っていく。
 マテリアは息をするのも忘れ、ハミルに視線を固めていた。

 長い息を吐いてから、ハミルは薄く笑った。

「嫌なことに、死ぬ直前の記憶が強く焼きついてるんだ。君に刺されて冷たくなる私の体も、アスタロに斬られて冷たくなっていくマテリアの体温さえも……忘れるなんて考えられない」

 教皇にふさわしい、すべての懺悔を包みこむようなハミルの微笑みが、今は穏やかとは思えない。
 鋭い刃となって、こちらの心に剣先を突きつけられている気分になる。

「私と会うまで、ずっと私のことを忘れていたそうだね。マテリアにとって、私を手にかけたことなど、覚える価値もないことだったのかい?」

「違う!」

 言葉の歯切れだけはいいが、出てきたマテリアの声はかすれていた。

「……私は死ぬ直前、今起きたことが夢ならいいと思ったんだ。ハミルが教皇になる前の、三人でいつも遊んでいた日々に戻りたい。だから、ハミルや私のしたことを忘れたかったんだ」

 マテリアは胸元をつかみ、次々と噴き出してくる痛みに耐える。

 ずっと感じていた違和感は、ハミルへの罪悪感からだったと、否応なしに思い知らされる。

 思い出した以上は、逃げられない。
 マテリアは喉を鳴らし、ハミルの瞳を真っ向から見つめ返す。

「ハミルが教皇になってから、いつも考えていた。ずっと三人で会って、遊んで、話をして……昔に戻りたかった。だからハミルを殺したことを思い出しても、ハミルと会えて嬉しいっていう気持ちは変わらないんだ」