永劫の罪人 光の咎人

 もっと君と話がしたかったけど、外から人の声が聞こえてきた。

『もう逃げたほうがいいよ。いくら私の口添えがあっても、捕まればひどい罰を受ける』

 マテリアは小さく首を横に振って、私を真っすぐに見た。
 出会った頃から変わらない眼差しが、ひさびさに見られて嬉しかったよ。

『そんな話を聞いて、逃げられるわけないだろ。教皇になってほしいと言ったのは私なんだ。だから……』

 震えていた君の手が止まって、剣先が私に狙いを定めた。

『……ハミルの命、私が絶つ』

 そう言って、マテリアが一歩前に出た時。

 廊下に続く扉が開いて、教会の中にいた僧侶や警護隊が駆けつけてきた。
 その中にはアスタロもいたよね。

『待て!』

 聞きなれた声に、君は一瞬だけ後ろを見て、再び前へ向いた時には駆け出していた。

 剣を真っ直ぐに構えて。

 切っ先を私の胸へ――。

『やめるんだ!』

 アスタロの声は、もう君には届いていなかった。

 迫ってくるマテリアの目は、私だけを見ていた。
 今まで会えなかった分、それが心地よかった。
 ずっと君を見ていたかったけれど……。

『ハミル!』

 声と一緒に、鈍い音が私を貫いた。
 激しい痛みが全身に走ったけれど、そんなことを忘れられるほど、嬉しかった。

 私は力の抜けた腕で、君を抱きしめた。

 君に触れられる。
 教皇になってから望み続けていたことだから、悔いはなかった。

 自分の死と引き換えでも。

『……マテリア』

 ずっと口にしたかった君の名。

 これが私の最後の言葉。

 意識は薄れていったけど、マテリアの背をアスタロが斬りつけたところは、しっかり見ていた。

 君の体が私に寄りかかって、抱き合うようにして倒れた。

 そうして私は息を引き取ったんだ。
 君の温もりを感じながら、ともに……」