永劫の罪人 光の咎人


「どうしたんだい、マテリア? 顔色が悪いよ」

 昔と変わらない顔で、ハミルはきれいに笑う。その顔が、今は怖い。
 ハミルの蒼い瞳が、冷たく見えた。

「あ、いや、何でもない。生き返ってから、たまに調子が悪くなるんだ」

「本当に大丈夫?」

 心配そうにしながら、ハミルの手がマテリアに伸びてくる。
 思わずマテリアは身を引いた。

 伸ばした手を止め、ハミルは椅子に座り直し、マテリアを見すえる。

「……何か、思い出した?」

「ち、違う。ちょっと疲れて――」

 くすり、とハミルが笑った。

「相変わらずマテリアは嘘が下手だな。思い出したから、私の淹れたお茶が飲めなくなった。私が君に触れるのを恐れた……違うかい?」

 清廉な教皇の顔が消える。
 目を細めてこちらを見る視線が艶めかしく、マテリアの背筋に寒気を走らせた。

 こんなハミル、知らない。

「私のことなど、忘れたかった? 生き返った後も、私は君のことを覚えていたのに」

 違う、と言い返したい。
 なのに体の感覚がなくなり、マテリアの口は動かなかった。

「つい昨日のことのように思い出せるよ。君に殺された日のことは――」

 呆然となるだけのマテリアへ、ハミルが笑いかける。
 今まで見てきた顔なのに、その顔を優しいと思うことはできなくなっていた。