永劫の罪人 光の咎人

 思い出すだけで、マテリアの胸に刺すような痛みが走った。

 また会えなくなったらどうしよう。
 そんな不安を急に思い出し、マテリアは恐る恐る尋ねる。

「なあ……ハミルはこれからどうするんだ?」

 少し考えてから、ハミルは寂しそうに苦笑した。

「実はロンドの後見人になってほしいと、教会から請われているんだ」

 やっぱり、また一緒にいられなくなるのか。そう思うと悲しくて、マテリアは目を伏せる。

 こちらの気持ちに気づいてか、「大丈夫だよ」とハミルが言い切った。

「三年ぐらいは教会から離れられないけれど、その後はマテリアと一緒にいられる。ロンドが約束してくれたんだ」

 一瞬にしてマテリアの目の前が明るくなる。

 三年我慢すれば、ハミルと一緒にいられる。
 昔と違って、一緒にいる道が閉ざされていないなら、十分に待てる時間だ。

 マテリアは破顔してハミルを見つめる。

「やった! ハミルと一緒に旅ができればいいと思ってたんだ。そうだ、三年も待ってるだけだと時間がもったいないから、ビクターに色々と教えてもらおう」

「……ビクターに?」

 ふっと、ハミルから笑みが消える。
 しかし、すぐに微笑んで「それは心強いな」とうなずいてくれた。

「ああ。ビクターはたくさんの国を旅していて、すごく物知りなんだ。私たちだけじゃあ、百年後の世界は知らないことだらけだし」

 熱さにも慣れ、マテリアはお茶を多めに口へふくんで喉を潤してから、声を弾ませた。

「考えるだけでワクワクしてくる。だって、昔ハミルに旅行記を読んでもらってから、自分で世界を旅したいと思ってたからさ。それで……」


 突然、マテリアの記憶が脳裏によぎる。

 ずっと国から出たいと思っていた。
 だから十八歳になって一人前になったら、旅に出ようとしていた。

 そのことをハミルに伝えようとして、一度教会に忍びこんで――。


(何だこの記憶? 嫌だ、思い出したくない!)

 マテリアは動揺を落ちつけようと、お茶を飲もうとする。

 ハミルが淹れたお茶。

 体が強張り、カップへ口をつけることができなかった。