永劫の罪人 光の咎人

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 夕日は山際に隠れてしまったが、まだ外は明るかった。
 いつもなら酒場へくり出して、他の客と酒を酌み交わしながら会話を楽しむところだが、今日はそんな気になれない。

 ビクターは宿屋のベッドへ体を横たえ、ぼうっと天井を見つめる。
 窓を閉め切り、街の喧噪を追いやっているためか、部屋が静かすぎて落ち着かない。

(マテリアに会う前は、これが当たり前だったんだよな。一人っていうのは、こんなに空しいものだったか?)

 いっそ眠りについて、やりすごしたい。
 ビクターがヤケになって目をつむると、胸奥から不気味な黒い靄が湧き出た。

 思わずビクターは顔を歪め、目を開ける。

(おいおい、勘弁してくれ。一人で夜をすごすのが寂しいだなんて、そこらのガキよりも情けねぇ)

 体を起こし、ビクターは頭を振る。

(まあ……だからと言って、マテリアに「行くな」とは言えんしな)

 昨日、ハミルと夕方に会う約束を交わした後のマテリアは、ずっとそわそわしていた。
 明日になるのを楽しみにしているのが、手に取るようにわかった。

 本当に嬉しそうだった。それが悔しい。

(オレじゃあ、マテリアにあんな顔はさせられない)

 ビクターは頭を乱暴にかき、奥歯を強く噛みしめた。

 ふと、駆け足の音がまばらに聞こえてくる。ビクターは扉を見つめ、様子をうかがう。

 コンコンと、遠慮がちなノックの音。
 ビクターはベッドの縁に腰かけ、髪を手ぐしで整え、来客に備えた。