◆ ◆ ◆
夕日は山際に隠れてしまったが、まだ外は明るかった。
いつもなら酒場へくり出して、他の客と酒を酌み交わしながら会話を楽しむところだが、今日はそんな気になれない。
ビクターは宿屋のベッドへ体を横たえ、ぼうっと天井を見つめる。
窓を閉め切り、街の喧噪を追いやっているためか、部屋が静かすぎて落ち着かない。
(マテリアに会う前は、これが当たり前だったんだよな。一人っていうのは、こんなに空しいものだったか?)
いっそ眠りについて、やりすごしたい。
ビクターがヤケになって目をつむると、胸奥から不気味な黒い靄が湧き出た。
思わずビクターは顔を歪め、目を開ける。
(おいおい、勘弁してくれ。一人で夜をすごすのが寂しいだなんて、そこらのガキよりも情けねぇ)
体を起こし、ビクターは頭を振る。
(まあ……だからと言って、マテリアに「行くな」とは言えんしな)
昨日、ハミルと夕方に会う約束を交わした後のマテリアは、ずっとそわそわしていた。
明日になるのを楽しみにしているのが、手に取るようにわかった。
本当に嬉しそうだった。それが悔しい。
(オレじゃあ、マテリアにあんな顔はさせられない)
ビクターは頭を乱暴にかき、奥歯を強く噛みしめた。
ふと、駆け足の音がまばらに聞こえてくる。ビクターは扉を見つめ、様子をうかがう。
コンコンと、遠慮がちなノックの音。
ビクターはベッドの縁に腰かけ、髪を手ぐしで整え、来客に備えた。
夕日は山際に隠れてしまったが、まだ外は明るかった。
いつもなら酒場へくり出して、他の客と酒を酌み交わしながら会話を楽しむところだが、今日はそんな気になれない。
ビクターは宿屋のベッドへ体を横たえ、ぼうっと天井を見つめる。
窓を閉め切り、街の喧噪を追いやっているためか、部屋が静かすぎて落ち着かない。
(マテリアに会う前は、これが当たり前だったんだよな。一人っていうのは、こんなに空しいものだったか?)
いっそ眠りについて、やりすごしたい。
ビクターがヤケになって目をつむると、胸奥から不気味な黒い靄が湧き出た。
思わずビクターは顔を歪め、目を開ける。
(おいおい、勘弁してくれ。一人で夜をすごすのが寂しいだなんて、そこらのガキよりも情けねぇ)
体を起こし、ビクターは頭を振る。
(まあ……だからと言って、マテリアに「行くな」とは言えんしな)
昨日、ハミルと夕方に会う約束を交わした後のマテリアは、ずっとそわそわしていた。
明日になるのを楽しみにしているのが、手に取るようにわかった。
本当に嬉しそうだった。それが悔しい。
(オレじゃあ、マテリアにあんな顔はさせられない)
ビクターは頭を乱暴にかき、奥歯を強く噛みしめた。
ふと、駆け足の音がまばらに聞こえてくる。ビクターは扉を見つめ、様子をうかがう。
コンコンと、遠慮がちなノックの音。
ビクターはベッドの縁に腰かけ、髪を手ぐしで整え、来客に備えた。


