反対にアスタロは感情を見せず、静かにロンドを見つめる。
と、おもむろに彼は深くため息をついた。
「……ワシも詳しいことは知らん。なぜマテリアがあんな真似をしたのか」
言葉を止め、アスタロは感慨深げに目を閉じる。その目元には涙がにじんでいた。
「ワシが知っているのは……マテリアがハミルを殺したことだけだ。ワシの目の前でな」
無音が小屋に広がる。
声を震わせながら、ロンドは「でも」と言葉を返す。
「ほかの文献では、ハミル様は病死ということになっています」
残念そうに、アスタロは首を横に振った。
「百年前の民衆はな、人の手で殺されたという汚点を、崇高なる教皇に残したくなかったんだ。だから誰も真実を口にせず、どの書物にも真実を記さなかった。おかげで『永劫の罪人』の名だけが残ったんだ」
「そんな……」
生き証人がいる以上、これは事実だ。受け入れがたい現実が重くのしかかり、ロンドはうな垂れる。
「僕は昔の裁判記録を見つけて、このことを知りました。でも、マテリア様とハミル様が再会したとき、二人とも喜んでいました。それが演技だったとは思えません。あんなに仲のよい二人が、どうして……」
「マテリアとは小さい頃からずっと一緒で、兄妹のように育ったんだ。誰かを殺めるような人間じゃないのは、ワシが一番よく知っている。だが――」
ギチ、とアスタロの椅子が揺れる。
ロンドが顔を上げると、アスタロは頭を抱え、膝に涙を落していた。
「――ワシの目の前でハミルは殺された。だから教会の警護隊にいたワシは……マテリアを殺したんだ」
と、おもむろに彼は深くため息をついた。
「……ワシも詳しいことは知らん。なぜマテリアがあんな真似をしたのか」
言葉を止め、アスタロは感慨深げに目を閉じる。その目元には涙がにじんでいた。
「ワシが知っているのは……マテリアがハミルを殺したことだけだ。ワシの目の前でな」
無音が小屋に広がる。
声を震わせながら、ロンドは「でも」と言葉を返す。
「ほかの文献では、ハミル様は病死ということになっています」
残念そうに、アスタロは首を横に振った。
「百年前の民衆はな、人の手で殺されたという汚点を、崇高なる教皇に残したくなかったんだ。だから誰も真実を口にせず、どの書物にも真実を記さなかった。おかげで『永劫の罪人』の名だけが残ったんだ」
「そんな……」
生き証人がいる以上、これは事実だ。受け入れがたい現実が重くのしかかり、ロンドはうな垂れる。
「僕は昔の裁判記録を見つけて、このことを知りました。でも、マテリア様とハミル様が再会したとき、二人とも喜んでいました。それが演技だったとは思えません。あんなに仲のよい二人が、どうして……」
「マテリアとは小さい頃からずっと一緒で、兄妹のように育ったんだ。誰かを殺めるような人間じゃないのは、ワシが一番よく知っている。だが――」
ギチ、とアスタロの椅子が揺れる。
ロンドが顔を上げると、アスタロは頭を抱え、膝に涙を落していた。
「――ワシの目の前でハミルは殺された。だから教会の警護隊にいたワシは……マテリアを殺したんだ」


