何となく気まずいまま到着した海


二人の間には確実に微妙な空気が流れていた


何とかその空気を変えたくて頑張った俺だけど


どうやったってさなを笑顔にできなくて


ただただ自分の無力さを感じずにはいられなかった


一面の青い海と砂浜


照り付ける太陽がやけに眩しく感じられた




「さな。これやるよ」




小さな貝殻に小さな文字で記した言葉


“愛しの翔ちゃんから”


たったこれだけの言葉に


俺の全ての気持ちを託した


「ありがとう」


照り付ける太陽にさなの笑顔が反射して


俺の心を真っ赤に焦がす


少しごみが散らばっている海岸も


やけに真っ青な海も


その日は全部が美しく見えて


今も鮮やかに残る鮮明な記憶が


俺の胸をしめつけ続ける




さな


君は覚えてる?


あの日のことを


俺はきっと忘れられないよ


今も


そして


これからも