たった一人の親友へ〜another story〜

大きな目をさらに見開いて


「なっ泣いてないよ。

泣く理由なんかないし。」


へらへら笑うさなに少しイラッとした


「なーにー?

言ってみろって。

俺いつでも相談乗るっていったじゃん。」




何で泣くんだよ


そんなことされたら


俺がどうなるか分かってるんだろ


なら何で泣くんだよ





段々と目に溜まっていく涙



「もおっ」


この際計算でもなんでもいい


目の前にいるこいつを


さなを


めちゃくちゃに強く抱き締めた



「そうやって陰で泣かれるとこっちが困るの!

後男は涙に弱いんだから

俺以外の男の前で泣くなよ」




ずるいなんて俺自身が一番よく分かってる


わざと期待させるような言葉を言って


またさなを苦しめてるんだから


でも言わずにはいられなかった


こんな姿を他の誰にも


どんな男にも


見せたくなかったから


どんどん大きくなる泣き声に比例するよう


俺はさらにさなを強く抱き締めた





ずっとずっと


この時間が永遠に続けばいいのに


そんなことを強く強く


願った夜だった