たった一人の親友へ〜another story〜

帰り道


俺はさなに貝殻をプレゼントした


一年前と同じように


“愛しの翔ちゃんから第二弾”なんて書いた貝殻


さなは本当に嬉しそうにそれを受取ってくれて


俺も心から幸せな気持ちになれたんだ




こんな貝殻ひとつで何かが変わるわけでもないのに


ただ


こんな貝殻ひとつ渡すことで


さなの記憶にほんの少しでも俺が残ってもらえたら


それだけで


俺は安心できるんだ







どうか


あんなに純粋で


あんなに愛しい


俺の愛する人が


心の底から幸せになれますように


そして


ほんの少しだけでいい


彼女の人生にこれからも


俺が存在しますように


それが例え恋人という形でなくとも


親友という形でなくとも


どうか


それだけは許してほしい




そんなことを祈りながら


俺はさなの手をぎゅっと握りしめたんだ