誠ノ桜 -誠の下で-




しょんぼりという表現がぴったりな犬山の様子に、凜は胸が痛んだ。

どうして忘れているんだろう、と。


「食べれますか?」

「うん。……えっと…」


チラと犬山を見て、凜は言いづらそうに眉を下げる。

名前が、分からない。


「犬山 暁、暁って呼ばれてました」

「暁……、ありがとう」

「っ、はい!」


一瞬元の凜に言われたような気がして、犬山は嬉しそうに返事をした。


「また食べ終わった頃に来ますね」


凜と沖田に頭を下げ、犬山は部屋を出た。

それを見届けてから、凜はお粥を手にする。


「食べさせてあげようか?」

「だ、大丈夫」


頬を少し赤く染める凜を見て、沖田は思わず手を伸ばす。


あの時――凜が沖田の下へ来た時、どうして何も聞かなかったのだろう。

そう考えていると、ふと手を伸ばす沖田を不思議そうに見つめる凜の姿が目に映った。