誠ノ桜 -誠の下で-




恐る恐るといった様子の沖田を、凜はじっと見つめる。

その瞳が全てを物語っているような気がし、沖田は俯いた。


「……いや、いいんだ。目が覚めただけでも」


凜は眉を下げ、少し考えるような素振りをする。

それから、控えめに口を開いた。


「ごめん、なさい。……誰、ですか…?」


自分が知っているはずの人にこんな事を言うのは、失礼なのではないかと思ったらしい。

沖田は苦笑し、愛しそうに凜を見つめた。


「沖田………沖田、総司」

「沖田、さん」


確認するように凜が呟いたのを聞き、沖田は思わず吹き出す。


「え、と……」


困った表情の凜に「ごめんごめん」と言うと、沖田は今度は笑顔を見せた。


「いいよ、“沖田さん”で」


凜が少し首を傾げた時、襖の向こうから犬山の声が聞こえた。


「凜、お粥……持って来ました」