藩邸に着き犬山が素早く処置を施した為、凜は一命を取り留めた。

銃弾は右脇腹を捉えており、目が覚めても暫くは刀を握れない。

いくら、桜の子の凜でも。



そして二日後――…


凜は、静かに目を覚ました。

看病をしていた犬山が慌てて皆に知らせ、直ぐに凜の下に集まる。


「凜、良かった……です…」

「本当、心配したんだからなっ」

「具合は…?」


真っ先に犬山と宮部、氷上が声を掛ける。

凜は一度ゆっくり瞬くと、三人の方へ目を向けた。

三人共、瞳に安心の色を浮かべている。


しかしその瞳は、次の瞬間に驚きの色へと変わった。


「――――誰……?」


三人が言葉を失っていると、丁度遅れて松平と早瀬が入って来る。


「目が覚めたか、凜!」

「皆、どうかしたのか?」


凜は入って来た二人に目を向けると、意外にも笑顔を見せた。