「……凜は強いな」
ぽつりと隣から聞こえて、凜は目を向ける。
眉を下げた宮部が、不安そうに溜め息を吐いていた。
「俺なんて、怖くて堪んない」
刀の柄に手を掛けてそう言う宮部を見て、凜は空を仰ぐ。
気持ちとは裏腹に、随分と晴れている。
「私も怖いわよ。怖いに決まってるでしょう」
宮部が驚いて凜を振り返る。
凜はそれに苦笑を浮かべた。
「あんた私の事何者だと思ってるのよ」
「そんな驚く?」と笑う凜に、宮部も少し笑みを見せる。
「いや、凜が弱音吐くの珍しいからさ」
「ふふ、死にたい?」
いつの間にか黒笑に変わっている笑みを見るなり、宮部は青ざめて首を横に振る。
「冗談に聞こえないって」
そんなやり取りをしている内に、宮部も少しずつ緊張と不安が解れてきたようだ。
「……あのね、薫。怖くても、今はそう考えちゃ駄目よ」


