「水城君!」
「隊長……」
凜は藩士に「もういい、下がって」と言うと、近藤を見上げる。
「近藤さん、確かに松平様はあなた方に援軍を要請しました。しかし藩士全員にまでその事実は行き渡っていません」
凜は目を伏せ、冷静に言葉を紡いでいく。
ここで凜が見せるのは、動揺ではない。
隊長らしい、威厳のある態度だ。
他でもない今、隊長の凜が冷静でなくてはならない――
この騒ぎのお陰で、凜はそう気付いた。
「申し訳ありませんが、一度松平様にお目通しをお願いします。藩士達は今殺気立っていて、あなた方の話は聞き入れないと思います」
「会津公に書状か何かを貰う、という事か?」
「はい」
凜の冷静で丁寧な物言いに、近藤は機嫌を良くして笑顔を浮かべる。
「うむ、すまないな水城君。時間を取らせてしまって」
「いえ。お手数お掛けします」
最後に綺麗にお辞儀をし、凜は定位置へと戻った。


