自分達が、藩士達を守らなければ。
その一心で、それぞれに更に腕を磨き始める。
―――…
その日の夜中、眠っていた筈の凜は目を覚まして起き上がった。
まだ寅の刻だというのに、徐に寝巻きから袴に着替える。
そして腰に刀を挿し、足音を消してそっと外へ出ていった。
三日月の明かりに照らされながら、凜は目的もなく歩く。
藩邸にいたくなかった……いや、いれなかったのだ。
気が付けば、新選組の屯所に着いていた。
無意識の内に沖田に会いたいと思っていたのか、と凜は溜め息を吐く。
そして門番の隊士が凜に気付いた。
「あっ、沖田組長ですよね?少し待っていて下さい」
「え、あ、ちょっと……」
運が良いのか悪いのか、隊士はそそくさと中へ入ってしまった。
ここまでくれば、態々起こしておいて帰るというのはなしだろう。