早瀬が帰って来た二日後、漸く帰って来た理由を松平が話した。
薩長は東洋の武器を手に入れ、御所に討ち入る計画を企てているらしい。
今回は新選組にも正式に要請を下し、会津藩と共に長州の制圧を謀るそうだ。
広間に集められた藩士は、皆ざわざわと騒ぎ出す。
東洋の武器とは、とか
刀で勝てるのか、とか
薩長軍は何人だ、とか。
それに答える事なく、松平は隊の編成の話を始めた。
藩邸に残るのは松平と早瀬、少数の藩士に救護班の半数。
御所には直属部隊と他の藩士、監察班が待機する。
「以上だ。出立は明朝、それまでに準備をしておけ」
解散の言葉を合図に、皆すぐに広間を出た。
特攻隊は松平の指示でその場に残り、早瀬も
松平の隣に座したままだ。
「特攻隊は皆と別に動いて欲しい」
足音が遠ざかるのを聞き届けると、松平は徐に口を開く。