「防げるようにする事」


宮部の頭に手を乗せ、左右にくしゃくしゃと
撫でた。


「ありがとう」


そう言って、凜は稽古場から出て行った。

今のお礼の意味は、宮部が凜を励まそうと思
って来たのを分かっていたという事だ。


一人宮部は残されたは、ははっと笑う。

でもどこか頬を赤く染めて、頭に触れた。


「何だよ……人の気も知らないで…」


切ないような、嬉しいような……複雑な想い
は、まだ誰も知らない。