特に会話もない食事が終わり、凜は一人で稽
古場へ向かう。
竹刀ではなく木刀を手に取り、深呼吸を繰り
返した。
窓から差し込む月の光が、道場内を照らす。
「…………薫」
凜が素振りを初めて半刻が経った頃、徐に木
刀を下ろして入り口に目を向けた。
「集中し過ぎて気付いてないかと思ってた」
名を呼ばれた宮部は、肩を竦めて姿を現した。
同じく木刀を持ち、凜の正面に立つ。
「ふーん……木刀で試合するのね」
挑発的に言う凜。
木刀は竹刀より当たると痛い。
宮部はいつも凜に打ちのめされているから、
今日は勝つ気でいるように思える。
「痛いくらいがいいんだよ」
「…………。そっちの意味で?」
「剣の腕を磨くにはって事だよ!!てか何だよ
そっちって!」
宮部がはぁと溜め息を吐くのを合図に、互い
に木刀を構えた。


