誠ノ桜 -誠の下で-




だが早瀬は動きを読んでいたのか、立ち上が
りながら後ろに突いた。


暫し静寂が流れ、凜は息を吐く。


「相打ち……」


ぽつりと呟かれた犬山の声は、静寂に響いた。

凜は早瀬の首を、早瀬は凜の首を見事に据え
ていた。


「何だよ、師匠と同格かよ」

「まだ下、弟子よ。勝ってないもの」


それに、と凜は目を伏せる。


「ちょっと加減してた」

「そんな事ねぇって」


ははっと笑う早瀬に溜め息を吐き、凜は竹刀
を片付けた。


(………嘘ばっかり)


そう心の中で呟いて、凜は隅で固まる三人に
目を向けた。


「薫、暁、諒。夕餉の時間よ」

「え、あ…うん」

「す……すごかったです!!ねぇ諒!」

「あぁ…」


放心状態から我に返って、犬山は興奮気味に
凜に詰め寄った。


「あの早瀬さんと渡り合ってましたもん」

「龍飛は手加減してたから、そんな事ない」