誠ノ桜 -誠の下で-




「惚気てないっ」


パシィッと竹刀の音が響く。

早瀬は片方だけ口の端を上げ、凜を見つめた。


小さい頃は可愛かった凜が、今はすっかり綺
麗な女性に成長している。

自分のいない間に、妹を盗られた気分だ。


「つーか、師匠に追い付き過ぎだろ」


眉を下げて笑う早瀬に対して、凜は妖艶に笑
ってみせた。


「よく出来た弟子でしょう」

「自分で言うな」


跳び退いた早瀬は、下段に構えた。

一方凜は上段に構え、早瀬より早く突っ込む。


「ぅおっ?」


上から来る筈の凜の攻撃は来ず、凜は早瀬の
背に回った。

素早く振り返った早瀬も、流石に防ぐのが難
しい。

だがそこは師匠、体勢が崩れながらも凜の竹
刀を受け止めた。


「おー怖っ」

「褒め言葉として貰っておく」


凜は敢えて押さない。

どちらにしろ力は敵わないのだから。


素早く流してまた背に周り込む。