そう考えてしまい、凜は首を振って落ちた気
分を戻した。
「直ぐに事件が起こって、私が言伝を預かった
帰り道に浪士十五人と斬り合い」
「十五!?俺でも厳しーわ」
苦笑いを浮かべる早瀬をチラと見て、凜は嘘
ばっかりと少し頬を膨らませた。
丁度甘味処に着き、どちらからともなく中へ
入った。
「あ…言伝と一緒に、櫛を貰った」
「中々やりおるな」
誰になりきっているのだろうと冷静に見てい
たが、はっとして話を戻す。
「十五人相手に傷だらけになって戻って、暫く
見張られてたけど抜け出して……」
「何で」
「嫌な予感がしたのよ」
何者だよお前、と早瀬が凜の頭を撫でる。
「あ、みたらし団子五十本」
「はいよっ」
「俺の奢りだと思って……鬼か」
ぶつぶつ言う早瀬を無視して、凜は周りを見
る。
いつもの、お将(マサ)のいる所ではない。


