誠ノ桜 -誠の下で-




「ただいま」


笑いながら言う早瀬を見て、松平は「あぁ」と
声を漏らした。


「折角の再会だ。二人で外でも行って来い」

「いいのですか?」


目を輝かせて訊く凜に訂正する筈もなく、快
く承諾してくれた。


「では、失礼します」

「失礼します!」


終始上機嫌の凜は早瀬に待ってもらい、手早
く着替えてきた。


「つーか、どっか泊まったのか?」

「…………まぁ…」


先程まで饒舌だった凜が吃ったので、早瀬は
ニヤリと笑う。


「あぁ……男でも出来たか」


からかうつもりで紡がれた言葉に、凜は明白
に飛び上がった。


「え、本当なんだ」

「ちっ…が、わない……けど…」


否定も出来ず、顔を赤くしながら答える。


「恋仲の男の部屋で一晩……何してたんだ?」

「何もっ」


増してや『昨晩大人の階段を上りました』な
んて、とても言えない。