誠ノ桜 -誠の下で-




「松平様っ、おはようございます!」


全力疾走で藩邸に戻り、松平の部屋の前で慌
てて言った。

流石に息も切れている。


「おぉ姫、入れ!」


松平の弾んだ声からして、もう早瀬が来てい
るのかとわくわくしながら襖を開ける。


「失礼します……」


心臓が脈打つのを感じながら、ゆっくりと顔
を上げる。


「凜!六年振りだなぁ」


松平の横に立つ人物。

それを確認した途端、凜は飛び付いた。


「龍飛っ!!」

「ぅおっ…はは、中身は変わってないな」


と笑って頭を撫でる彼こそ、早瀬 龍飛。

凜の大好きな師匠だ。


「しっかし六年の間にこんな成長するとは…
すっかり女らしくなっちまって」

「はっはっは、早瀬にはやらんぞ」


何故か松平が父親役を買って出ているが、凜
はそんな事も気にせず早瀬から離れた。


「お帰り!」


言い忘れていたとばかりに言った凜に、早瀬
は眉を下げて笑う。