―――…


翌朝、凜は新選組屯所の"沖田の部屋"で目を
覚ました。


昨夜は夕餉の時間まで何とかごまかしたもの
の、結局部屋で問い詰められてばれる羽目に
なった。


そしてそのまま布団にあーれー。

さよなら今までの私、という結果になった。


「って、ん?」


凜は昨日の回想をしていて、ふと何かを忘れ
ているような気がした。


「昨日はここに来て……」


何で来たんだっけ、と色々考えていると、凜は
突然口を抑えた。

正しく言うと、叫びそうになって抑えた。


思いっ切り忘れていた『師匠帰還』という事
に、凜は体を起こした。


「……凜」

「おはよう総司…」


頭を抱え込んでいる凜をじーっと見つめる沖
田に気づき、「何?」と首を傾げる。


「うん、着物着ないのかなと思って」


暫し沈黙が流れたと思えば、凜はまた口を塞
いだ。

危うく叫ぶ所だった。