「暁(アキラ)!聞いてよ、皆して俺の事無視するん
だよ!?」
犬山(イヌヤマ)がやって来るなり、宮部は助けを
求めた。
「あ、早瀬さんが帰って来るからでしょう?」
が、犬山も宮部を無視して凜に笑い掛ける。
「酷い……って、え?早瀬さん?」
「そうよ」
やっと反応した凜に若干感動しながら、宮部
は考えた。
「って、誰?」
苦笑いを浮かべる宮部に呆れる犬山と氷上。
だが凜は、「あぁ」と呟いた。
「薫、丁度入れ違いになったのよ」
「でも、僕達は知ってますよ。有名ですから」
勝手に話を進める三人に、宮部が割って入っ
ていく。
「で、誰なの?」
その質問に、凜が得意げに答える。
「松平様の側近で、私の師匠!」
その言葉に宮部が目を見開く。
「ぇえっ!?り、凜の師匠ー!?」
凜は嬉しそうに笑い、後の二人はそんな宮部
を冷めた目で見ていた。