気まずくなって俺ぁ『どっかこの辺に涼しい
所ねぇかな?』って訊いたんだ。

そしたら女は笑顔になって、俺の手ぇ掴んで
引っ張った。


それで連れて来られた場所は、また綺麗な川
でよ。

夏の夜だったから、蛍が飛んでて。

暫く一緒に見て、その日は屯所に戻った。


それから何度もあの川に行こうとしたんだ。

あの女に会えるかもって思ってな。

俺の予想通り、行く度に女に会えた。

会う度嬉しそーな顔するから、俺もつい通い
つめちまってなぁ。


「だから新八、妙にこそこそしてたのか」

「うるせぇよ左之。いいから聞いとけ」


えー…で、それから何日か過ぎた日の夜。

前に会った時に、その日会おうって決めてた
日だ。

川までの入り組んだ道を歩いてた時、男に会
ったんだ。

そいつ、俺が先へ進もうとしたら慌てて引き
止めやがって。

この先は危ないから行くなっつーんだよ。