原田の思惑通り言い返してきた凜は、内心か
なりドキドキしながら座った。
「そうこなくっちゃねー!」
「よし、んじゃいくか!!」
藤堂も悪乗りしているが、未だ気づかない永
倉は待ってましたとばかりに声を上げる。
後悔ばかりが胸を過ぎったが、耳を塞ぐ訳に
もいかず極力他の事を考える事にした。
「それはある夏の夜……」
―――…
俺はいつものように左之と平助と島原へ呑み
に行ってたんだ。
その帰り道、呑み過ぎたのかいつにも増して
気分が悪くなっちまって、休憩するからって
二人には先に帰ってもらった。
取り敢えず体が火照って熱かったから、川に
でも行こうと思って歩き出した。
そしたら、綺麗な着物を着た別嬪な女が俺に
近付いてきたんだ。
大丈夫ですか、つって。
俺は咄嗟に大丈夫だっつったんだが、女の方
は眉下げて心配そうで。


