むー、と沖田を見ると楽しそうに笑われたか
ら、凜は今度こそ顔を背けて歩き出す。

後ろに付いてくる沖田を気にしながら、凜が
廊下を歩いていると、明るい声が聞こえた。


「おー、二人共!いい所に来たな!!」

「新八」


いつも元気な永倉が広間から顔を覗かせて、
来い来いと手招きをしている。

沖田にチラと視線を向けると、肩を竦(スク)め
て見せた。

断る理由もなく中へ入ると、凜は一瞬うっと
身を引いた。


「何?」


引いて後ろの沖田にぶつかったから、真上の沖田の顔を見上げる。

沖田は反対に真下に見下げて凜を見た。


「熱気が「おおおお前等なぁ、堂々といちゃつくなよっ!!」


遮った永倉が叫ぶように言うと、凜ははっとこの状況を一瞬で悟った。

と言うか、何故顔が近いのに気づかなかったのだろうか。


「いっ、いいちゃついてなんか「えー、駄目なんですか?」