はたと思い付いて口にした言葉は、沖田には
効果絶大で。


「…………」


ピシッと固まった。

沖田は無言のまま凜を抑えていた手を離し、
赤面しながら正座する。

凜はゆっくり起き上がって、未だ固まる沖田
を覗き込むようにして見た。


「総司?」

「………………何」


ぷいと凜から視線を外し、不機嫌そうに返事
をする。


「凜、狡いよね」

「は?」


唐突にそう言われて、思わず聞き返した。

何がとでも言いたそうな顔を見て、沖田は態
とらしく溜め息を吐く。


「俺の事好き?」


ギクリと肩を震わせた凜の目に映るのは、す
っかりいつも通りに戻っている沖田。


「………。言わない」

「えー、さっきは言ったのに?」

「い、言わないっ!!」


クスクスと笑う沖田を一睨みし、凜は立ち上
がった。


「折角来たから、稽古場行く」

「じゃあ俺も」