暗に『凜は渡さない』と言っているようで、
凜はほんのり頬を赤く染めた。

そしてそれを見た男は、付け入る隙がないと
感じたのか何も言わずに去っていった。


「全く、油断も隙もあったもんじゃないねー」


あっけらかんと言い退ける沖田に、凜は開い
た口が塞がらない思いで沖田を見た。


「な、何でここに…」


目が合って思わずそう問うと、沖田は「あぁ」
と楽しそうに笑みを浮かべて口を開く。


「凜に呼ばれた気がして」


凜はそれこそ驚いて、顔を更に赤くした。


「何で赤くなるの?」


クスッと眉を下げて笑う沖田から目を逸らさ
ず、じっと目を見て呟く。


「やっぱり…好きだなぁ、って思って……」


だがやはり言った後は、照れて目を逸らして
しまった。

が、何も反応がなくて視線を戻すと凜は目を
見開く。

珍しく、沖田が赤面していたのだから。