「あ……あのっ!!水城 凜さんですよね!?」

「はぁ…そうですけど」


いきなり頬に触れていた凜の手を握り、そう
言った男。

余りの勢いに、凜は身を引いている。


「ずっと憧れてたんです!綺麗な人やなって、
ずっと……思ってて」


何なんだろうこの状況は、と一瞬他人事のよ
うに思う。

しかし、何故今それを言うのか意味が分から
ない。

凜がそういった思いで黙り込んでしまった男
を見つめると、男は顔を赤くして俯いた。


「す……好きなんです!!」

「………っは!?」


大声で言われた言葉に一拍以上遅れて反応す
る凜の目には、男。

そこで漸く、この男の口から出た言葉だと理
解した。


「え、いやあの………」


理解して、次は何故そうなるのか理解出来な
くなる。

自分の事ながら、やはりどこか他人事のよう
に思えてきてしまうのだが……。