さも平然と答えた原田に、今度は凜が動揺を
見せる。
「こっ……な、何で…」
「あー……勘って言うか、な」
それを聞いて凜は更に動揺し、赤くなった顔
を隠すかのように「休憩してくる!」と言って
稽古場を飛び出した。
……人に言われるのがこれ程までに恥ずかし
いとは、と凜は溜め息を吐く。
「あ、凜。どうしたの?」
とそこで丁度巡察から帰ってきた沖田に出会
し、凜は一歩後退った。
「ちょっと……試合をしに…」
「…………ふーん……、俺に会いに来た訳じゃ
ないんだ?」
不敵な笑みを浮かべる沖田に、少しだけ寂し
いという感情が見えた気がした。
………のも、束の間で。
「え、や……何よ…」
凜はじりじりと詰め寄られていた。
「ん?何って………何だろうね?」
余裕の笑みを湛える沖田は、先程とは別人の
ように感じる。


